原皮は、クロムというなめし剤に漬けて柔らかくしたり、さまざまな薬品をなじませてしなやかな風合いを出します。その後ローラーでもみほぐし、加工前のまっさらな革ができあがりました。
型押しはどのように行われるのですか?
これがクロコ型の鉄板。これをプレス機にセットして型押しします。
一枚の革を手でずらしながら、継ぎ目が合うよう全体に型をつけます。
手でずらしながらつけているんですね。
柄の継ぎ目を熟練の職人の目で合わせながらつけます。型押しの後は最も腕が試される「染め」の工程に入ります。
絶妙なニュアンスの色はどのように作っていますか?
職人が自分の感覚だけを頼りに、色見本に合わせて注文を受けるごとに調合します。15色の染料の組み合わせですべての色を出しています。
感覚ですか!?
染料は長時間置くとアルコールが蒸発して濃くなるので、作り置きできないんです。クロムでなめした皮は青みがかっているので、青に重ねた時に色見本に合うよう想像しながら調色します。例えばダークワインなら、赤にちょっとダークブラウンと黒を混ぜる。さらにエナメルがけしたときの発色も考えています。
どのように染めていますか?
機械によるスプレー染めです。
これ(画像左上)は染める前の革。染料が沈まないように下塗りし、その上にパールがけしたものです。
その後ラインに革を乗せ、染料噴霧からドライヤーかけまで一連で行います。絶妙なグラデーションを出すために染料は一度塗り。一回で発色がいいように調色するのも職人技の見せ所です。
いよいよ仕上げ「エナメルがけ」の職人技をお見逃しなく!